久しぶりの投稿皆様こんにちは、AMOLIRの川上です。
寒い時期になりましたねーこの時期は、手作業をするとすぐ手を痛めやすくなります。
年々感じますが手が命の仕事をしていると自覚して来なかった2年間でした!
まあ必死に技術向上しか頭になかったもんで…
最近では、刃物扱ってるとヤバイ!切った!って思って指みたら皮で止まって血が出ないなど指の皮膚が強靭化しています笑
しかし来年からは、永く続けれるように工夫しながら手、手首、腕を考えながらの作業の仕方を工夫しようと思う今日この頃です。
さて今回は、タイトル通り革の雨染みについての御依頼を頂きました。
雨染みは、非常に厄介です。それも今回は、雰囲気ある色合いで独自の染色技術で施されたブーツ!
SARTORE(サルトル)のジョッキーブーツです。
まずは、写真を見て下さい。
足首部分に黒くなった点が、、、
これは、目立ちますね….SARTOREは、世界一美しいブーツとして人気ですがその作りや革の質感は、高級な革靴達と共通する質感を触ると感じます。また独自の染色技術により美しい雰囲気のある色合いを表現していますが染色での革は、水を含みやすく染みになりやすいのです。
お客様からメッセージを頂いた時にきっと色々な所に聞いて断られたり微妙な回答だったりで悩まれてたのだろーと感じました。
当店でもそこは、適当な事は言えず説明を出来るだけしっかり伝えた上で納得して頂き当店に任せて頂きました。
なぜハッキリした回答が言えなかったのか?
それには、理由があります。
まず雨染みが出来てから永い期間が経ってしまっていた事!
きっと水がついてしまっていた事には、気づいていたけど乾いたら戻ると思われたと思いますし戻らなくなってからは、中々すぐに対応して頂けたお店がなかったのでは、ないかと思います。
凄く高価な靴でありSARTORE特有の風合いが作業者を不安がらせたのでは、ないかと推測しました。
しかし早い段階なら洗いクリーニングで戻せた可能性が高かったですね。
雨染みは、期間が経つと革が硬化してしまいます。水とブーツに含まれるオイルと反応しなかなか止まってしまった水は、抜けません!
当店でも一応軽く反応が見たく洗いましたがやはり変化がないです。
次にカラーリペア での塗り直しが考えられます。
しかし修理屋が行うカラーリペア は、傷やスレ色落ちを戻す概念の為染色では、なく顔料での塗り直しになります。
染料では、薄くなった色を濃くする事出来ても傷やスレなどは、隠せません。
しかしSARTOREは、染料で仕上げており風合いがあり経年変化を楽しめるような魅力のある革に顔料をがっつり塗ってしまったらもはや違うブーツになります!
きっとお客様もそこは、不安な部分として説明されて来たと思います。
やり方は、今回お伝えしませんが出来る限り風合いを残しながら染みを薄くする事にしました。
こういった部分を説明しながらやり取りをして作業していきます。
お伝えする事でお客様へのメンテの知識を伝えて不安を取り除く事を考えてやっておりました。
想像より目立たなくなった上今回は、相当薄塗りです。その為隠れるはずのスレも薄く残ってしまっている場所もありますが染みを目立たなくしながら経年変化を楽しめるように顔料をかなり濃度薄めで塗っています。染みと風合いを重視し多少のスレは、味として判断して頂きクリームでのメンテで補う方向にしました。
最後は、磨きを施し仕上げて完成!
カラーリペア 顔料塗るだけならどこの店でも直せたでしょう!しかし靴の技法や雰囲気を勉強して全てでは、ないにしろ理解して作業に入る!これが大事だとより感じた依頼でした。
そしてお客様の考えと気持ちが伝わってより仕上げ方が変わるとも思いましたね。
では、次回お楽しみに。