ビンテージスチール 検証してみました。

2018年5月1日

靴修理 東京


今回は、ビンテージスチールについてお話しをしたいと思います。

ビンテージスチールとは?まずそこからになりますが写真のように靴底のつま先部分にスチールを加工して付けるメニューになります。

靴底は、大きくわけて履いて削れやすい箇所がありつま先、ソール真ん中、カカトと3箇所が大きく削れやすくなっています。

そのうちのつま先部分削れを防止する為にある修理メニューの一つになります。

またビンテージスチールは、見た目もカッコよく当店でも人気メニューの一つです。

靴が好きな方ですと靴を購入後すぐにビンテージスチールを付けてもらう方もいらっしゃいます。

さて今回は、ビンテージスチール好きの方に向けてのお話しになります。

スチール部分は、このようにスチール本体とそれを固定するネジが部品になっています。

つま先部分にこのまま取り付けるわけでは、ございません。

なぜならスチール本体自体の厚みが約1mm程あるのでこのまま取り付けてしまうとフラットにならず金属音のカチカチとした音がなりやすくなるので職人は、つま先の革を丁度1mm分フラットに漉きます。

そうする事により地面にスチールが当たる位置を最大限に少なくするのでカチカチする音がそんなに気にならないぐらいに仕上げます。

ここで重要なのがスチール好きの方々の意見の一つとして糸を切ってしまうのでは、ないかとの意見です。

糸を切らないように付けますってお店も見かけますがこれを検証させて頂きました。

※この検証は、あくまで当店の個人の意見であり絶対正しいとの検証では、ありませんので御理解してご覧下さいませ。

 

まず糸を切るのでは?この部分に関してお話しすると靴底は、色々な縫いの製法があり靴底を見ると糸が縫ってあったりします。

1mm分の革を漉く際に縫い糸を切ってしまうのでは、ないかとの疑問ですが解答は、どちらも正解です。

なぜかと言うと靴底の縫いは、縫い糸を溝を掘ってそこに隠して縫い付けます。そうしなければすぐ靴を履いて1日歩けば擦れて切れてしまいます。

そして靴のブランドや職人さんによってその溝の深さや製法がまちまちだと言う事です。

その為溝が浅ければ1mm漉けば糸に到達しちゃう靴や1mmじゃ到達しない靴もあると言う事です。

靴や革は、1mm単位で色々状況が変わる作業が多いのです。

 

では、ここからが検証です。

オールソール 仕立ての左右の靴に一つは、フラットに仕上げたビンテージスチールともう片方は、糸を切らないようにギリギリで取り付けたビンテージスチールの靴を製作しました。

わかりやすくする為にトライアンフビンテージスチールを採用しました。

理由は、自分で履いて試す為面積が広いスチールを採用したかったので。

次に練習用で使ってたオールソール交換済みの靴を用意してスチールを付けます。

片方は、フラットに仕上げた靴

もう片方は、糸を切らない様に設定した靴

少し極端になってしまいましたが少し出っ張ると思って下さい。

この二つを履き比べてみました。

その結果、、、、

個人的な意見になりますが正直凄く違和感があると想定していたのですがそんなに違和感を感じなかったとの結果に、、、

ただつま先が出っ張ってる方が明らかに地面にスチールが当たるのが早いのとつま先が少し上を向いている違和感がありました。

つまり足の感覚が敏感な方でしたら気になるしそんな敏感じゃない方なら感じずらいかもしれません。

この結果には、更に追求がありそれは、今回ソールが新品状態だと言うと事です。仕上がり始めの革は、まだ足に馴染んでおらず硬いのです。これが履きなれるにつれてソール、インソール共に革が柔らかくなるにつれてこの気になる度合いは、上がって行くと予想しています。

その為私自身やはりフラットに仕上げるのが好ましいと感じました。

糸だけ切らずスチールを出っ張っらないやり方もありますがやはり違和感を少し感じました。

 

ただし縫い糸を無視する事もまた違うと思いますので説明するとまず縫い糸のイメージは、一つ切れてしまうとプツプツと他の糸も取れていくイメージがお持ちかもしれません。

しかし靴底の縫い方は、ミシンと違います。靴底を当店の様に手縫いで縫う際一つ切れても他の糸が取れてくるとは、違う一面があります。

まず縫いの糸は、玉糸や麻糸などそのままの素の状態で縫いません。糸にろうとチャン(松ヤニ)を浸透させる作業から始まります。つまり糸を作る作業がありそのコーティングされた糸は、強度がまし粘着力があり縫われた糸同士がくっつきあう事で水など通さずまたチャンにより水にも強く作られているのです。

その為スチールは、切れてしまっている糸にネジで固定させる為切れていたとしても固定されています。

ただし靴の製法によっては、靴底の接着が弱く設定し縫いで固定している靴もあるためスチール部分以外で糸が切れれば

ソールとウェルトが少しづつズレたりする靴もあります。

 

なので当店のビンテージスチールは、フラットな仕上げでオプションで気になる方に万が一切れてしまう溝の浅い靴には、切った箇所を手縫いで縫い直してスチールを付けるオプションを付ける事にしております。

ビンテージスチール ¥2500-

トライアンフスチール¥3200-

オプション

つま先革足し(つま先が削れてしまっている場合)¥600-

つま先縫い ¥1000-

 

長くなりましたがビンテージスチールは、雰囲気もよくそれでいてつま先を保護してくれるお洒落なメニューです。音を懸念してる方でも実は、そんなに気にならないと思いますので是非付けてみて下さい。